新しい対人パターンの中で自分を体験し直す
私が大切にする事の一つは、クライアントが安心してセラピーの過程を進む事ができる、セラピストとクライアントの関係性です。
私たちは人間関係の中で他人を理解すると同時に、自分がどういった人間なのかを理解しています。そしてこの人間関係のパターンというのは人それぞれです。貴方には貴方の人間関係のパターンがあると思います。愛着論によると、こういった人間関係のパターンは、乳児の時から幼少期にかけて、主に面倒を見てくれる保護者(母親、父親、祖父母など)とどのような関係性を持ったかに深く関わっていると言われています。本来の自分を受け入れてくれる保護者と心から安心できる関係性を育む事ができる場合、その保護者を「心の安全基地」として捉え、その上で自分自身や世界を探求していきます。逆に、そういった信頼関係が育めない保護者に育てられた場合、後の人生の中で、人間関係のパターンや自分自身の捉え方に問題が出てくる場合があります。例えば、常に周りに合わせてしまったり、逆に常に優位でないと安心できなかったり。自己評価が低かったり、常に何かが不安であったり、自分の価値を信じられなかったり。色々なパターンが想定できるかと思います。
そういった場合、セラピストとの関係性の中で「心の安全基地」を育み、その新しい関係性の中で、自分自身を体験し直す事が大切になります。それは、自己肯定感を促し、今までと違ったアングルで自分自身や他人、世界について体験し、理解を深めていくプロセスになります。これをハンガリー出身のフランツ・アレキサンダーは修正感情体験と呼びました。
この様に、クライアントとセラピストの関係性そのものが、重要なセラピーの基盤となります。