「本当の自分」の成長を促す。

イギリス人の精神科医、ドナルド・ウィニコットは「本当の自分と偽りの自分」という概念を以下の様に説明しました。「本当の自分」とは、自然にありのままの自己表現が出来る自分の事で、この「本当の自分」が成長する事によって、私たちは自分自身や周囲の世界と健全に繋がる事ができます。逆に「偽りの自分」が成長してしまっている場合、あるがままの自己表現は妨害されがちです。「偽りの自分」が優位にある場合、私たちは周囲が自分に何を期待しているか、また周囲が自分にどう振舞って欲しいのかによって、盲目的に自分の感情や行動を選択してしまいます。他人を喜ばせる為、他人から評価を受ける為に行動し続けてるうちに、本来の自分らしい感情や行動とは切り離され、周囲の世界とも健全に繋がる事が難しくなってしまいます。

ウィニコットは、早期の発達段階における保護者との関係が「本当の自分」又は「偽りの自分」の発達に大きく関係していると説明しています。母親(又は父親など他の保護者)が子供の自発的な行動、思考、感情などを受け入れて対応できる能力がある事が「本当の自分」の発達には必要です。そして、母親が子供が本当に必要としているものに対して敏感であり、子供の発達に合わせて、供給するケアの程度を柔軟に変化させていく能力が大切です。保護者がそういった能力がない場合、子供は自発的な行動、思考、感情などを肯定する事が出来ず、又そういった自発的なものをどうやって周囲や社会に順応させていけば良いか学ぶ機会を得る事が出来ません。そして常に表面上で周りに適応しようとする「偽りの自分」が発達するのです。

では、成人した後に「偽りの自分」が優位に発達してしまった事に気付いた場合、もう取り返しはつかないのでしょうか?そんな事はありません。私たちのセラピーでは、貴方自身が自分の自発的なニーズに対応できる「保護者」となる事で、貴方の「本当の自分」の成長を促します。