包括的な自己容認
私たちは自己の中に様々な異なる”性質”を持っています。例えば、シャイな性質だったり、勇敢な性質だったり、怒りっぽい性質だったり、考えすぎる性質だったり、優しい性質だったり、心配性の性質だったり。私たちの持つ性質は一つではなく、相反する性質のものも同時に持っています。どの性質も私たちを形成している大切な要素です。ですが、私たちは自分が好ましくないと感じる性質は無意識に抑圧したり否定したりする傾向があります。無意識のうちに抑圧されたり否定された性質は表に出ようとするので、そこで葛藤が生じます。こうした盲目的になされている抑圧や否定は、自然な心のエナジーの滞りになります。
どのような性質も抑圧したり否定したりするのでなく、その性質の「声」に耳を傾ける事が大切です。そして、その性質とどのように関わっていきたいかによって健全な距離感を整えていけば良いのです。するとそれぞれの性質がお互いにポジティブに影響しあう事で、貴方が本来持つ心のエナジーが円滑に流れ出します。つまり統括的に自分を容認する事は、貴方を癒すと同時に、貴方らしく輝く為の変化をもたらしてくれるのです。
アメリカ人の精神科医であるアーノルド・バイサーは、自身の『変容の逆説的な理論』の中で以下のように説明しています。「本当の変化は、誰か違う何者かになろうと努力している時に起きるのではなく、ただありのままの自分になる時に起こる」と。